柔道家・教育者 嘉納治五郎氏の言葉 Voice vol.79

「伝統とは形を継承することを言わず、
その魂を、その精神を継承することを言う」

今回は、柔道家で教育者の嘉納治五郎氏の言葉です。
講道館柔道の創始者であり、日本のオリンピック初参加に尽力するなど、明治から昭和にかけて日本におけるスポーツの道を開いた方です。
「柔道の父」「日本の体育の父」として、今日のアスリートの支えになっています。

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鎌倉彫。図柄などにもよりますが、30センチ盆で2万円位。

昨年山梨大使になったことで、今まで以上に山梨の文化芸術を深く学んでいますが、18歳で横浜の大学に来て以来住んでいる、神奈川県(数年間東京と千葉にも住みましたが)の伝統文化も大事にしています。
一昨年神奈川県からの依頼で、2020年にむけ、そして急増する外交人観光客に向け、伝統文化をPRする仕事を致しました。
その時依頼されたのが、「鎌倉彫」と「箱根細工」でした。
鎌倉彫はその起源を鎌倉時代にさかのぼりますので、900年以上の歴史。
そして箱根細工は平安時代にその起源をさかのぼりますので1200年以上の歴史があります。
そしてどちらも戦国時代を経て、平和が続く江戸時代に隆盛を極めます。
どちらも神奈川の地で長い歴史を経ていますので、私がいまさら何をと思いましたが、お話を伺ってみると、マーケティング不足による売上減という現状がわかりました。

 

そもそも日本国内には、2017年12月末現在、経産省が認定している「伝統工芸品」が230あります。
どの地域にもその土地ならではの伝統が息づいており、改めて日本と言う国が、世界に誇れる文化を持っているのだと再認識しました。
しかし、これら素晴らしいものたちが、市場でも活躍しているかと
言うと、一概にYESとは言えません。
 

箱根細工の仕掛け箱で遊んだ経験をお持ちの方も多いでしょう

鎌倉彫や箱根細工の課題は、前述の通り、マーケティングができていないことに尽きました。
それは販売もそうですが、事業を受け継ぐ人を育てていないということでもあります。
どんな業種でも、事業が儲かっていれば、事業の将来が見えれば、後継者が出てくるわけです。
「伝統工芸品」はその意味で、個別の事業者だけでなく、地域でそして日本経済で支える体制ができつつあります。
大切にしたい文化です。

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さて、私の故郷、山梨県にも伝統工芸品認定はあり、その一つが「甲州印伝」です。
印伝は寛永年間(1624~1643年)に来航した外国人により、印度(インド) 装飾革が幕府に献上された際に名づけられたと伝えられています。
その華麗な色に刺激されて、後に国産化されたものを印伝と呼ぶようになりました。
貞享二年(1685)刊の京都の地誌である『京羽二重』や十返舎一九の「東海道中膝栗毛」(1802年)のなかに「印伝」の記述があることから、江戸時代には各地で製造されたものと思われますが、現在、製法が伝わっているのは、甲州印伝のみです。

甲州印伝は鹿革に漆で模様を付けたものが特徴で、この鹿革は、体になじみ、強度を備えていることから武具にも盛んに使われており、戦国時代には鎧や兜に用いられ、武将たちの 勇士を飾ってきました。
明治期になると、信玄袋や巾着袋等が内国勧業博覧会において、褒章を得るなど、山梨の特産品 としての確固たる地位を築きました。
また、大正期にはハンドバック等も製作され製品も多様化し、現在に至っています。
製法は変えず、けれど時代と共に日常で使ってもらえるような商品開発と、展示会などを利用してのPR、アンテナショップの活用など、時代時代でマーケティングをしてきたと思います。私も名刺入れなど、甲州印伝を愛用していますが、丈夫で軽くてお勧めですよ!
甲州印伝は、伝統柄がステキ ですが、現代柄もありますので、 お気に入りが見つかるはず!

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前述の「伝統とは形を継承することを言わず、その魂を、その精神を継承することを言う」について。

柔道の山下泰裕氏は、ブルー柔道着が採用されることになった時、日本中が反対一色になったことを恥ずかしいと思ったといいます。
カラー柔道着導入は嫌なことではあるが、柔道が世界に普及するには避けて通れない。
そもそも、カラー柔道着は柔道の本質を脅かすものではないと。
結果、わかりやすくなり世界に普及し、ファンも増えましたよね。

評論家の加藤周一氏は、
「文化は無からの創造ではなく、伝統からの創造である。過去を失うものは未来をも失うだろう」
と言っています。
伝統は大切にしながらマーケティング(新たな視点)も見落とさず、海外からの観光客は勿論、そもそも国内の若い人に、その魅力を伝え、マーケットが拡がるように取り組みたいものです。

私どもトライプランニングも、皆さまの「魅力」を伝え、マーケット拡大のお手伝いを致します!

 (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.79  2018年1月号より抜粋)