我々も良く使う言葉ですが、ルーツは中国の古典『易経』に登場しています。
言うこととやることが一致していること。
「言うは易く、行うは難し」という格言があるように、言うだけならどんな立派なこともいえますが、実行するのはなかなか難しい、と昔からだれもが認識していたのでしょう。
仕事でもプライベートでも、色々な約束や宣言をしていますが、なるべく言いっぱなしが無いような生き方をしていきたいと思っています。
みなさまはいかがですか?
難しいからこそ、「言行一致」の人は、評価が高くそうでない人ほど、マイナスの評価になってしまいます。
さて、日本にダイエットという言葉がまだ存在しない1962年、東京大学の大河内一男総長が卒業生を送るスピーチで話した「太った豚ではなく痩せたソクラテスになりなさい」という言葉が当時の新聞に載り、話題を集めたそうです(実はマスコミに配られた事前原稿にあり新聞に載せたが、本当はそのことを話さなかったと後日大河内氏が著書に書いたという逸話もあります・・・)。
いずれにせよ、新聞に載ったことで、世間に広まったそうです。

そもそもこのスピーチの出典は、19世紀のイギリスの経済学者JSミルの著書「功利主議論」で「満足した豚で
あるより、不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスであるほうが良い」と
述べていることに由来します。
人は自分の信念をすてて豊かで安穏な生活にひたるくらいなら、たとえその身はやせ細り、生活に困窮しても、信念を貫いた方が本当に人間らしいのだ、という意味です。
今回この文章を取り上げた理由は、その後ダイエット業界が、「太った豚にならないで痩せた狼を目指しましょう」とPRしたからです。
本来の語源とは違っていますが、わかりやすいキャッチコピーですよね。
ところで、豚の体脂肪率はなんと13%だそうです!
意外と筋肉質!?多くの人は豚にもなれないと思いませんか!!
個人的なダイエットや、早起き、日記をつけるなどの宣言はともかく、仕事をしていく上で、社員や部下に宣言したことをきちんと実行できるかどうかが、我々には問われますよね。
現代の情報化社会、本当に便利ですが、半面メールや携帯電話で常に管理され、以前とは比較にならないくらい仕事量が増えてます。
「言行一致」難しいこともありますが、リーダーとして責任を持ってやっていきたいと思います。
私の好きな、司馬遼太郎氏の小説『峠』に下記のようなくだりがあります。
「・・・志は塩のように溶けやすい。
男子の生涯の苦渋というのも、その志の高さをいかに守り抜くかということころにあり、それを守り抜く工夫は格別のものではなく、日常茶飯の自己規律にある。
箸のあげおろしにも自分の仕方がなければならぬ。
物の言い方、人との付き合い方、息の吸い方、息の吐き方、酒の飲み方、ふざけ方、すべてがその
志を守るがための工夫によって貫かれておらねばならぬ、というのが、継の助の考え方であった。・・・

これを読むと「言行一致」はまず、日常茶飯の自己規律からですね。
ということは、仕事や習慣のすべてに、まずは自分流を持つことが大切だと理解しましたが、みなさまはいかがお考えでしょう。