「精一杯の誠意で相手に接すれば、それで心をうごかされない人はいない」
これは吉田松陰先生の名言の一つです。

 

さて今月から金言・名言と言われている言葉をテーマに、Voiceを書きたいと思います。第一回目は幕末の偉人、吉田松陰先生の名言です。私は以前、先生とは呼んでいませんでしたが、司馬遼太郎さんの書を読み、歴史を訪ねる旅をするようになり、萩に行ってから改めて吉田松陰の凄さを知り、地元長州の人と同様、先生と呼ぶべきだと思うようになりました。このあたりは松下幸之助さんもそうですが、先人たちを呼び捨てには出来ないという感覚と同じです。
経営者になってから改めて、先人・諸先輩方を、(直接お会いしたことがあるなしに関わらず)自然とそうなりました。

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吉田松陰先生の生涯はわずか29年です。しかしいまだに多くの人々に影響を与えているのですから、濃密な生涯であったことがわかります。有名なのは松下村塾ですが、改めて年表を見てみると1857年。ということは自身が27歳、そして斬首刑が1859年ですから、わずか2年強しか塾で教えていませんが、久坂玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋、吉田稔麿、入江九一、などの面々を教育し、彼らの多くが明治維新を成し遂げたのですから、その功績は凄いの一言ですね。さてここで吉田松陰先生の話をするときりがないので、Voiceの目的である経営論に話をかえてみたいと思います。

 

今回の「至誠にして動かざるものは、未だこれあらざるなり」こ れは交渉術という側面より、営業術そのもの、経営の本質そのものではないか、と思います。私がセミナーやコンサルティングの現場で良く取り上げるピーター ドラッカー氏が、企業の目的は「顧客創造」であり、そのために必要なことは「マーケティングとイノベーション」だと言っています。つまり、経営者はまずは マーケティングをしっかり理解・実践し、次のステップで自社の商品・サービスに磨きをかけていく。

そしてその商品・サービスは顧客が何に悩んでいて、どう解決してほしくて、解決する事でどんな価値を得ることができるか、と言うのをつきつめていくわけですね。ドラッカー氏の言うように、そこが突き詰められれば、後は簡単。自社の商品サービスに、自信を持って勧めることができますし、セールスもやりやすくなります。そして、セールスの段階に入ったら、出来ることを全面に押し出すのではなく、課題が解決できることを前面に出すスタイルで行くのが上手くいくコツですね。 voice67-2

「マネジメント」P.F.ドラッカー

 

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それに加え昨今では商品の差別化よりも重要なことは、セールスパーソンの誠実さや気配りと言う、計測が難しい分野に移行しています。
3年後の2020年は東京オリンピック。インバウンド需要効果に、国・自治体を挙げて「おもてなし」に力をいれていますが、「おもてなし規格認証」はご存知でしょうか。サービスを見える化し、日本のサービス産業と地域経済の活性化のために制定されました。

一度自社をチェックしてみると、新たな気付きがあるかもしれません。
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そして、「至誠にして動かざるものは、未だこれあらざるなり」と言えばもう一つ、人材育成ではないでしょうか!
経営者の悩みは沢山ありますが、突き詰めていくと「お客様を増やす」ということと「人材を育てる」の二つにつきると私は思っています。

そ の人材育成でよくある話が、「一生懸命育てようとしているのに、なかなか伝わらない、育たない」ということ。そんなとき私がよく事例に出すのが、テンポス バスターズ創業者の森下会長のお話です。氏曰く、「花が好きな人は植えて、水をやり、肥料をやり、雑草を抜く。しかし暑い日が続き、枯れてしまい、がっか りする。こんなに一生懸命、面倒を見たのに、などと花を責めない。ある日根もとからかわいい芽が出ているのを見つけた時の喜びと言ったらない。ひたすら花 の命が全うされるのが嬉しい。”人が好きなら同じ事である。”成長を喜び、だめだからと言って社員を責めてはいけない。がっかりしたことを伝えなさい」 と。説明はいりませんね。・・・ということで誠意を持って人に接しましょう。

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.67  2017年1月号より抜粋)