「思索生知(しさくせいち)」 道理や筋道を追って、物事を良く考えることで知恵が生まれてくるということ。『思索』は筋道を立てて十分に考えること。
『生知』は知識・知恵が生まれること。出展は中国の古典「管子」です。

 さて「思索生知」。会社を成長させていく上で、トップがどんなビジョンを示すのか、どういう方向性を出していくのかというのが重要ですが、それと同時に具体的にそのビジョンを実行して行くと同時に、様々な良いアイデアを提案できる幹部がどれだけいるのか、また幹部候補の育成がどれだけ出来ているのかも併せて重要になってくると思います。

  今コンサルティングで、多くのお客様と係らせていただいている中で、幹部育成のご依頼を受け、教育・育成のプログラムをやらせていただいています。その育成のポイントは、経営者視点を持っていただくことと、人間力を上げていただくことです。この意識改革がまずは大切です。そしてその二つの大切さをご自身に落とし込み、実際に行動に移していただくことが、第一歩です。次に幹部としての課題に対する判断や取り組み方などのノウハウを学んでいただいています。今回は、経営課題を解決するための一つの方策としての 「ゼロベース思考」をご紹介いたします。

 

 

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すごく分かりやすい、ゼロベース思考の本です。入門編としてお勧めです

 

 

 

 

ところで「ゼロベース思考」と「思索生知」、一見違うように感じられるかも知れません。定義にしたがうと、ゼロベースとは、今までの常識や慣例を考えないで、まずは何もない状況に身を置いて考えましょうということですし、「思索生知」とは、道理や道筋を追って、物事を考えましょう。ということですから。
しかし私はどちらも同じだと思います。なぜならどちらも大局に立って俯瞰して物事を見ていくことを言っているからです。
つまり頭を柔軟にして対応する必要があるということですね。
『ここの所、ビジネスが今一つ伸びないのはなぜだ、何か良いアイデアを考えよう。みんな何かアイデアは無いのか。』と声高に叫んでも、それでは頭が固まってしまいます。まずは、やわらかくすするためにも、基本の道理が必要です。
その意味で、今回の「ゼロベース思考」と「思索生知」は同一のものなのです。

 さて「ゼロベース思考」、簡単な考え方ですが、実行するのが難しいのは我々が良くも悪くも積み重ねた経験値、それが多くの場合早い判断、正しい結論に到達するための思考法だからです。つまり、人は課題に直面すると、勝手に自分でルールを作ってしまうからです。そしてそのルールの枠の中で検討を始めます。すると、『常識的に難しいのでは、この業界には当てはまらないだろう』と良いアイデアや、良い答えにたどり着けなくなってしまいます。
 ではなぜ「ゼロベース思考」が必要かというと、ビジネスの現場では想定問題集から問題が出るのではなく、経験値の無い所からアイデアを生み出して行かなければならないからです。アイデアに詰まった「ゼロベース」を思い出してください。
 ただし、間違えてしまいそうなのがその使い方。斬新なアイデアを出すために枠からいったん外れるのですが、ただ外れるのではなく、俯瞰するポイントは抑えること。
それは、営業戦略で見ればお客様視点を持つことですし、商品戦略であれば利用者様の視点を持つことです。
その人たちが望むもの、その人たちが不便だと考えている事を大局から見てください、そうして俯瞰してみると、アイデアは沢山湧いてきます。アイデアが湧いてきたらしめたもの、では具体的に何から手を付けたら良いか、スケジュールはどうするのか、筋道を立てて進むということで、良いものが生まれてくる。これが事実だと思います。
あとは、「経験が無い」、「お金が無い」、「時間が無い」、「人がいない」などのダメな理由を封印し、「出来るとしたらどうする」、「やるためにはどうする」と発想を転換する事が、成長と成功に繋がるのではいでしょうか。
 今回は、「思索生知」から、「ゼロベース思考」について書いてみました。ビジネス、お客様がいないと成り立ちません。
常に「お客様の立場から考える」という前提にたちましょう。そうすると、自分たちの都合は一切意味のないことがわかります。皆様、今年は昨年以上に頭をやわらかくして、ビジネス脳をフル回転させていきましょう。

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.58  2016年2月号より抜粋)