才気煥発(さいきかんぱつ)」。優れた才能が外にあふれ出ること。
才気」は優れた才能。優れた頭の働き。「煥発」は輝き現れるさま。
わたしは高校時代にこの言葉を知ってから、こんな人になりたいといつも思っていました。

さて才気煥発。みなさまの周りにはこんな輝いている人はいらっしゃいますか。部下や社員に、こんな人がいらっしゃいますか。いや、そもそも自分がそうだよ!と、言う方もいらっしゃるでしょうね。
才気煥発のイメージとして、私は朗らかで、おおらかで、そして人間的魅力にあふれている人と定義します。
経営コンサルタントの仕事をしていると、本当に多くの経営者とお会いする機会がありますが、社員との関係性が良い経営者と言うのは、社内だけでなく社外でも本当に多くの友人がいて、素晴らしいネットワークをお持ちです。
人とのご縁を大切にする方が、結果として魅力的な人間として社員慕われ、お客様からも選ばれる人となり、経営する会社も選ばれ発展していく流れとなっているのだと思います。

 

魅力的な方々の行動や習慣を見ていると、多趣味であり多才であることが分かります。わたしも会社員時代に尊敬する先輩から「ソーシャルディスタンスの遠い人と付き合うことが視野を大きくするし、成長するよ」と言われ、意識するようになりました。ソーシャルディスタンス=「社会的距離」の遠い人と言われても、最初はなかなか見つかりませんでしたが、当時の後輩の友人が、アルベールビルオリンピックで金メダルに輝いた、スキー複合の荻原健司選手で彼と食事をする機会を持ったことから、私の交友関係も少しずつ増えていきました。
 
  当時荻原健司選手は23歳、海外を転戦する中で、英語は勿論、ドイツ語フランス語も日常会話はできていました。そしてトレーニングもきちんとこなしているわけですから、年下ですがとても輝いていました。
  その頃のわたしは、「自分はできるビジネスマン」だと勘違いしていましたから、彼との会話はとても刺激になりました。そしてわたしはその日に一日60本吸っていた煙草をやめることにし、会社員として小さな成功を目指すのではなく、自分の目標を持って、自分に誇れる人生を歩もうと決めました。
このことがきっかけで、まずは運動不足解消のためトライアスロンを始め、そこから会社という枠だけでは出会えない多くの価値観の違う方々と出会うことができたのでした。

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↑アルベールビル五輪金メダルの男子複合メンバー

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↑今や世界でも著名な経営者ですが、当時は気軽に話をきけたのです。

 

その後はスポーツ選手だけでなく、会社の経営者や他社のビジネスマンと交流をすることが好きになり、ビジネス書を読んだり、セミナーに出かけたりしてきました。
  経営者として刺激を受けたのは、ユニクロの柳井さんでした。ユニクロという会社は2004年にできていますが、ファーストリティリングの社長として話題になっていた頃、まだわりと小さなセミナーのパネラーとして参加されており、直接話をすることができました。
  当時の話の中で、わたしが一番印象に残っているのは、1994年に同社が上場した時に何が一番良かったかと言う質問に、柳井さんは「公には、『戦略的な投資ができるし、会社が加速度的に成長する』と言ってはいるけど、本音は『個人債務が外れたことだ』」と言っていたことでした。上場をするような社長でも日本の場合には個人債務がついていて、それが売上何億・何百億になっても気になるというのが驚きでした。そのことがきっかけで、当時会社員でしたが、ファイナンスを勉強してみようと思ったのでした。

 

才気煥発 少し話がそれましたが、自分自身が輝くことで、周囲の人に、大きな刺激と変革を与えることができるような人こそ、この才気煥発 なのではないでしょうか。
われわれは経営者として、リーダーとして、まずは自分自身が関心ごとの幅を広げ、周囲に波及させ、才気煥発な人となり、そして社員や部下から才気煥発な人間が多く出るようにしていく務めがありますよね。それが、結果としてお客様に選ばれる、素敵な会社となり、素敵な仲間が集う会社になると思います。

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.36 2013年9月号より抜粋)