春和景明(しゅんわけいめい) Voice Vol.51

春和景明(しゅんわけいめい)」 、春の日の穏やかで、光の明るいさま。
麗らかな春の日は景色も素敵だから人間楽しく穏やかに過ごせるという意味です。
出典は中国の古典「岳陽楼記」です。

 

 さて「春和景明」。四季のある日本は本当に素晴らしいと思いますが、その中でも春は自然の息吹を感じられ、植物もそして我々人間も元気になる、素敵な季節ではないでしょうか。
一方会社も自分たちの取り組みが認められ、穏やかなビジネス展開ができれば、このような「春和景明」のごとく、順風な体制が作れるのではないでしょうか。
 もちろん、ただ自然に任せてそのような体制ができるわけではなく、そのために経営者は常に「マーケティング」と「イノベーション」を意識することが重要だと思います。
 「マーケティング」とは、世の中がどのような流れになっているのか、自分たちを待っているお客様は誰なのか、そのお客様が望んでいることは何なのか、を、常に考えることですし、「イノベーション」とは、その中で会社の体制や
サービスをどの様に変化させ、進化させて行けば良いのか、ということを常に考え続けなければいけません。
そしてこれらは社長だけが考えるのではなく、全社で取り組む体制をつくる必要があるのです。

 先日、大阪にある「東海バネ工業株式会社」の社長である「渡辺良機」氏の話を聞く機会がありました。
同社は様々なメディアで取り上げられていますので、皆様もご存知かと思いますが、やはり常に「マーケティング」と「イノベーション」に取り組むことで、市場から一目置かれ高収益を実現している会社様です。
結果として今日、「春和景明」の状況を作り上げたのだと思います。

 

201503

渡辺良機 社長

 日本の製造業は儲からない、中小企業は儲からないと一般的には言われています。
もちろん手をこまねいていたら、その通りだと思います。
同社の今現在のキャッチコピーは「創業以来60年赤字なし」。
渡辺社長が先代創業者である、南谷氏に誘われた時の口説き文句も「赤字なし、大手メーカーと取引あり」だったそうですが、実際は損益分岐点ぎりぎり、大手メーカーから値引き要請多し、という現実でした。
 それを甘んじて受けているようでは生き残れないと感じた渡辺社長は、同業他社がやらない、できない、やりたくないというものに特化して、尚且つお客様の要望に徹底的に応えられる体制を構築することにしたのです。そのことが結果として技術者の質を高め他社にできない仕事が舞い込み、値引き交渉をしなくても良い状況になったそうです。そのことが、併せて社員のやりがいも満たされる、まさに「春和景明」となったのです。

 

 渡辺社長は、「社長の仕事とは、社員の満足度を高め、いかにモチベーションを上げるかにある」と言っています。
それを聞くと、同業の社長は「御社は給与も高く、休みも多いんでしょう?」聞いてくるそうです。その質問には、「社員満足とはお金だと思いますか?」と聞き返すそうです。もちろん結果として給与と休暇は同業他社よりも良いわけです。が、それを目指したのではなく、働き甲斐ということを追求した結果そうなったのだと言い切ります。
 では、「何が働き甲斐か?」というと、それは自分の会社に誇りを持てる事、自分が作った製品やサービス、仕事を通じて確実に成長しているという喜びが感じられることです。
 同社のバネが東京スカイツリーの一番高い所にある「制振装置」に使われていることもそうでしょうし、以前は取引のなかった個人のお客様の家庭のドアのネジや、ジッポのライターのバネを作ってほしいということに応えていくことで、お客様からお礼のハガキや電話を頂いたりすることが、職人さんのやりがいを作っているのだと思います。

 

今回は、「春和景明」から、少し飛躍して、東海バネさんの取り組みと現状をご紹介しましたが、我々も改めて「マーケティング」と「イノベーション」に注力し、社員さんが誇りに思えるような仕事を作れるかを考えてみましょう。それには、お客様のご要望は何か、それに自社としてどう応えるか、ということに尽きると思います。
日々進化して行きながら、良い会社を作って行こうではありませんか。

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.51  2015年3月号より抜粋)