今回は、弊社のビジネスである、マーケティングに関してしっかりと実践しているユニークな企業を見学してきましたので、そのご紹介をさせていただきます。
訪問してきた会社は千葉県にある、「いすみ鉄道株式会社」。ご存知ように日本中にあまたある、ローカル線の一つです。一般的にローカル線とは、国鉄民営化に伴い、JR各社が主要幹線以外で走行距離が短く、乗車数も少ない路線を第三セクターの管理下に置き、地元で経営を委託した路線です。つまり、民営化にあたり、儲からない赤字事業が切り離されたという、いわばマイナスからのスタートがほとんどの路線です。

経営のスタイルは、線路や沿線の保守を自治体が担当し、電車の運行など実務を会社が請け負うという形です。

このようにいびつな形になっているので、民営化以来、経営責任の所在がはっきりとせず、結果儲からずに廃線になっているところが多くあります。一方元気な処も少なからずあり、その一つが今回見学に伺った「いすみ鉄道」です。

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【いすみ鉄道の概要

いすみ鉄道ですが、房総半島のほぼ中央にある小湊鉄道の上総中野駅から

外房にあるJR大原駅を結ぶ14駅、総延長26.8キロという短い路線です。基本は各駅停車で、始発から終点までを約60分で運転しています。

事業規模は年商約2億、従業員数16名(2012年3月現在)です。

地元自治体としては、廃線も考える中、改革を進めてくれそうな経営者を公募

していて、そこに応募したのが、現在の社長である鳥塚亮氏です。

募集当時の状況は売上1億、経営コスト2億でした。そこから売上倍増を達成した、事例の一部をご紹介したいと思います

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d24fd4074f9a699d3d6001377bf37fd7←のどかな田園地帯を走るいすみ鉄道

 

【いすみ鉄道のマーケティング

いすみ鉄道の売上倍増の取り組み。それは一言でいうと「乗客を増やさない」こと。なぜならローカル線が満員だとスタッフも大変ですが、それ以上にお客様が納得しないから(笑)。皆様もそうだと思いますが、人間ってわがままです。美術館でも観光地でも、行きたいけれど、混雑しているのはいやですよね!?特にローカルというのは温泉旅行に行くようなもので、「のんびり」や「ゆったり」を味わいたいから行くのに、人がいっぱいだと、満足度が半減してしまうからです。

なので、顧客心理が読める鉄道好きな鳥塚社長は、「いすみ鉄道を見に来てください、でも乗りに来ないでください(笑)」とPRしているのです。

 

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↑ ネーミングライツされた国吉駅は

  ムーミンキャラクターが迎えてくれます

 

現在の収益構造ですが、決算書を見てみると約8000万円が、メインサービスである乗車料金以外の収入です。

大きなものはスポーンサー収入(駅名のネーミングライツ、沿線のお花の苗販売、そして枕木オーナーという命名権)です。それ以外に、物販は勿論ですが、ターゲットを絞っての様々なイベントを企画開催しています。

例えば、女性客にはムーミン、鉄道マニアにはレトロなモデルの電車、年配のお客様には観光とセット企画、高校生には体験プログラムなど、いすみ鉄道とのかかわりの中で、ファンを増やし、売り上げを増やしています。

鳥塚社長の企画は全てお客様視点で、ファンを増やすための施策が満載でした。マーケティング=顧客創造、これは全ての事業に必要です。

ぜひ皆様の会社でも、メインのサービスに加え付随・関連事業でどんな顧客創造ができるのか考えてみてはいかがでしょう。ワクワクすると思いますよ!

 

 (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.26 2012年10月号より抜粋)