「一気呵成」呵は息を吹きかけるという意味。
中国の「乾隆帝文」に出てくる言葉で、凍って動かなくなった筆に息をかけて温め、大急ぎで書くということから、一息に行動することを言います。
今回のタイトル「一気呵成」ですが・・・
知人から勧められて読んだ本に、司馬遼太郎氏の「菜の花の沖」がありました。
幕末の時代、貧しい農民の子として生まれた、のちの「高田屋嘉兵衛」が時代を懸命に生き抜く中で、大きな志を持って、事業を起こし発展させていく下りは、まさに「一気呵成」。寝る間も惜しんで読んでしまいました。(これもある意味一気呵成ですね)
その後、蝦夷やロシアとの間多くの苦難にあいながらも・・・
・・・実はまだ文庫本6冊中、3冊目なのでそこまでは読んでいないのですが・・・後半もとても楽しみですし、勇気が湧いてくる本だと思います。お薦めです。
そして「一気呵成」に関してのエピソードですが・・・
私の高校の先輩である、林真理子氏が以前パリの美術館でミケランジェロの彫刻を見たときの事を下記の様に記述していました。
「ミケランジェロの彫刻を見ていると、本当に圧倒される。どんなものをつくるかと、イメージが湧いたら一気呵成に刻(ほる)んでしょう。本当に生きている人間を描写したような力強さがある。彼の作風に圧倒されながらふと気づいたことは、彼は決して石を刻(ほっ)て人物を創りだすのではない、石の中に既にいる人物を彫り出してあげるのだと」
コレを読んで、私も圧倒されました。もちろん、ミケランジェロと、そして先輩である林真理子さんにです。
石から創りだすのではない、石の中に既にイメージを見い出して、ただそれを形として世の中に出していく。確かにそうなのかもしれませんね。
ロンダニーニのピエタ サン・ピエトロのピエタ
(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.4 2010年8月号より抜粋)