「志操堅固(しそうけんこ)」少年時代の志を持ち続ける、自分の使命はこうあるべきだと決めたら忘れずに貫く。仕事していく上で、人生を生きていく上で大切なことは「志を貫く」
わかってはいますが、なかなか難しいことだと思います。

 

城山三郎展
城山三郎展
さて、今月は私の好きな作家の一人であります、「城山三郎」氏の特別展覧会が神奈川県立文学館で行われていましたので、休日に数時間だけでしたが、でかけてみました。

城山氏の小説は、清水一行氏、高杉良氏、山崎豊子氏などの経済小説と同様、好んでよく読みました。

『官僚たちの夏』『乗取り』『黄金の日日』『外食王の飢え』『価格破壊』『落日燃ゆ』『雄気堂々』などなど、実在の人物をモデルにした数々の小説に、胸踊らせ、血をたぎらせていたことを昨日のことのように思い出します!

さて今回のタイトル「志操堅固」ですが・・・

「志操」は、志(こころざし)と操(みさお)。「堅固」は、ゆるぎなく固いこと。

つまり、志操堅固とは、自分の志や主義などを固く守り変えないことです。

以前城山氏は明治の小説家幸田露伴氏の、晩年の話からの引用で、「額を破り、胸に傷を負うのもはばからずにあえて突進する勇気を欠くものは皆、障害の前で立ち止まる。芸術の世界でも宗教の世界でも学問の世界でも、そして人生でも100人中99人、みなここで退いてしまうのである」といっていました。

その意味で、「志操堅固」とは、「額を破り、胸に傷を負うのもはばからずにあえて突進する勇気」がある人と言えるのではないでしょうか、とはいえ、多くの人が中途で挫折してしまいますよね。

城山氏は昭和2年生まれで、終戦の年特攻隊の部隊に志願した際に、話で聞いていたとは全く違う、軍部の内情の絶望し、また人の命を「5銭で取替のきく、消耗品」=スペアと公に話しているのを聞いて深く傷ついたことが、組織に属さず小説で身を立てようとした原点だったと言っていました。

記憶の新しいところでは、2003年5月に成立した、「個人情報保護法」に対して、「これは国民にとって悪法といわずしてなんと解釈しようか!」と断固として反対したのは、少年時代の軍国主義の辛い記憶があったからだと話していたのは、みなさまもよくご存知のことだと思います。

この姿こそ、「志操堅固」では無いでしょうか!
今回展覧会に出向き、小説を読み直して、改めて城山氏の原点を見ることができました。

 

経営10
横浜市中区山手にある県立文学館。横浜港が一望できて、好きな場所です。デートコースにもお勧めですよ!

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.2 2010年6月号より抜粋)