先義後利(せんぎこうり)」 道義を優先させ、利益を後回しにすること。
「義」は人として当然あるべき道の意で、「利」は利益のことです。
ポピュラーな熟語ですよね。出典は中国の古典「孟子」の梁惠王です。

 

さて「先義後利」。ビジネスの世界では、「損して得取れ」とか、「サービスが先、利益は後」などこれに似た言葉は多いですし、すでに皆様の殆どが実際にこのような想いで、会社を経営されていると思います。
 ビジネスは、本当に多くの方とのご縁があって進んで行きますし、どんな業種でも「サービス業である」という考えは私も本当に実感しています。世の中に必要とされることが、ビジネスの本質であるならば、そしてそのビジネスにお客様が対価を支払ってくださるのなら、お客様が喜ぶこと、お客様だけではなく会社のある地域に感謝されること、そして出来れば世の中全体に感謝されることやって行きたいですよね。
 経営は効率化も一つの要素として大切ですが、社会貢献というのはもう一つの要素として重要な事だと思います。

さて、先日仕事で札幌に行く機会がありました。札幌には実はぜひ訪ねたい会社さんがありまして、限られた時間でしたが、立ち寄ってみました。その会社は「富士メガネ」さんといいます。
 北海道札幌市に本社を構え、北海道を中心に店舗展開されていますが、現在は東北や関東にも店舗があり、合せて現在は69店舗です。私がこの「富士メガネ」さんを知ったのは、司馬遼太郎さんの紀行文「街道を行く」のなかで、札幌で眼鏡を直そうと立ち寄った時「お店と言うより、病院と言った感じで丁寧に対応してくれるユニークな店がある」と言うくだりを読み、興味をもったのが最初です。しかしそこには店舗名が載っていませんでした。ところが今年の1月に偶然にも、富士メガネの会長である「金井昭雄」氏の話を聞きご挨拶をさせて頂いただき、その存在を知ることができました。同社は、「先義後利」というものは超えているとてつもなく素晴らしい、社会貢献をされています。
 そのほんの一部をご紹介させていただきます。

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↑金井昭雄 会長

先義後利」というか、同社の社会貢献のルーツは、創業者である金井武雄氏が、戦前樺太で創業したものの、戦争ですべてを失い札幌でゼロからやり直したときから、お客様はもちろん、本当に多くの人に支えられたという感謝の気持ちを常に、社内で伝えていた事を、創業45年目の1983年に感謝の気持ちをもっともっと形であらわそうと考え、現会長である、金井昭雄氏が始めたそうです。
具体的には、世界各地の難民の方々に、眼鏡を届けることから始めました。届けると言っても凄いのは、検眼器とレンズそしてフレームを持って出かけ、その場で測定し、作って渡してくることです。また中国残留孤児が日本に来た際は、宿舎に出向き、その場で同様にして眼鏡を作って差し上げることなのです。
「我々の商品である眼鏡を提供することで、人助けができるならこんなに嬉しいことはない、これで少しでも今までの恩返しができれば」という取り組みだそうです。

そんな凄いことをやっている会社さんですので、様々なところから表彰されていますし、当然マスコミからの取材も多数あります。以下に素晴らしい表彰を二つだけご紹介します。

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この賞は、21世紀に求められる「理想の企業」を社会に広く顕彰する、表彰制度です。この賞の価値はCSRは勿論過去5年以上にわたって
①人員整理、会社都合による解雇をしていないこと
②下請け企業、仕入先企業へのコストダウンを強制していないこと
③障がい者雇用率は法定基準を上回っていること
④黒字経営であること
⑤重大な労働災害がないこと  という厳しい審査基準がある事です

 

 

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ヘルシー・ソサエティ賞は、よりよい明日に向け健全な社会と地域社会の幸せを願い、国民の生活の質(QOL)の向上に貢献した人々選びます。
国際的なボランティア活動も対象です

 

今回は、「先義後利」。と言うだけでなく、社会貢献活動のご紹介でした。このような活動は社員が誇りを持ちますし、結果お客様からも支持されます。我々もまずはできることから、取り組んでみようではありませんか。

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.49 2014年12月号より抜粋)