雄材大略(ゆうざいたいりゃく)」とは雄々しい才能と遠大な計画の事です。
つまり大きな事業を推進するのにふさわしい才能の事です。
出展は中国の古典「漢書」。経営者として、事業家としてこんなタイプを目指したいと思います。

会社経営をしていくなかで、長期戦略という視点を持つのは当たり前ですが、日々の仕事に追われているとなかなかそれができないというケースも多く見受けられます。これは大きな意味でタイムマネジメントがしっかりとできているか否かと言うことでもあると思います。中期計画、5か年計画、いずれにせよ、少なくとも3~5年の事業計画を立て、定期的に進捗を確認し軌道修正もしながら進めて行かないと、事業拡大は望めません。
事業は拡大しなくても現状維持で良いというケースもあるでしょうが、会社が存続するということは、世の中に必要とされているということなので、より多くの人にサービスを提供していくためにも、やはり拡大して行くのが望ましいと思います。
日本にある企業総数は諸説ありますが、ここでは約300万社(国税庁の法人税申告数23年度より)と仮定します。毎年約10万社が新規に登記され、同じく約5万社が解散・破産・精算されています(総務庁のデータより)。
一方企業の上場数も、マザーズ等が設立され上場基準が緩和されたことにより、2000年には年間200社程度ありましたが(これが日本で一番のピーク)、リーマンショック後20社を切り、昨年度ようやく66件に回復し、今年はもう少し増やせるよう官民一体となってバックアップをしているそうです。つまり企業が継続するのも大変ですが、創業後のひとつのゴールである上場となると0.05%程度だということ。本当に過酷な競争だと思います。

さて、「雄材大略(ゆうざいたいりゃく)」 このようななか、もちろん素晴らしい理念と、素晴らしい戦略と、そしてなによりお客様に選ばれる素晴らしいサービスを持って、上場する会社があります。
先日、日経ビジネスのご担当者からお勧め頂いただき、読んだ本が下記にある「非常識であれ!」でした。この本は、1994年に福島県郡山市で創業した(株)ガリバーインターナショナルの羽鳥現会長と役員・社員の3人がパリから北京、そして札幌から東京まで約1万3千キロを自らの足で走りぬいたドキュメンタリーです。
同社は1998年に店頭公開、2000年に東証二部、そして創業わずか9年目の2003年に東証一部に上場しています。

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この本は経営のノウハウや、同社のビジネスモデルを語った本ではありませんが、創業者である羽鳥兼市氏が、わずか9年で一部上場できた理由がわかる本だと思います。

一番の要因は「雄材大略」、しっかりとしたビジョンを掲げ、アクションプランを作り、それをとことん実行するという、経営の王道を貫かれたからです。

そもそも、アスリートでもない普通の会社員が1万3千キロに及ぶユーラシア大陸横断マラソンをしようとすること自体が本のタイトルでもある「非常識」です。

私も読む前は、経営陣が1年も会社を休んで大丈夫?社員やお客様からの視線は気にならないの?と思いながら手に取ってみましたが、読後の感想は全く異なりました。

羽鳥会長は70歳を超えて、チャレンジする素晴らしさや、夢を持つ大切さ、そしてどんなに苦しくてもあきらめない心を、社員やお客様だけでなく、世界の人たちに伝える事をしたいと思って決断したそうですが、まさに想像以上の結果だったと思います。感動しました。

 

 詳細は読んでいただきたいと思いますが、羽鳥会長の言う「非常識」というのは「常識を疑いなさい」と言うことです。
「今までこうだったから、世間ではこう言っているから等々、ビジネスをしていく上で、いわゆる常識やデータと言うのは正しいようだが、その枠でだけ考えていると、上手く行くかも知れないが、突き抜けることはできない。」
この考え方が根底にあり、その上で、「雄材大略」だったからこその、同社の急成長が現実になったのだと感じました。
 また、1年間にわたる行程では、社員も含めた多くのサポーターが異国の地で3人のランナーのサポートをしていきますが、この経験によって得られた様々の事が、一人一人を成長させ、社員であれば現場に帰ってからの仕事にしっかりと結びついていて、同社のチームワークとサービスの向上を支えていることが分かります。最後に羽鳥会長がこだわったことは「毎日40キロも走るという、とんでもないことに挑戦しているからといって、悲壮感を持って走る姿はだめ。そもそも我々はビジネスマン、カッコよく、清潔に走ろう」と宣言してそれを続けたことです。
経営のやり方はそれぞれですが、「雄材大略」 大いなるビジョンを持って、今よりも、もっとお客様に感謝され、もっと社員が楽しく、生き生きと働ける会社を目指して、ビジネスに取り組んで行こうではありませんか!

 

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.31 2013年4月号より抜粋)