「清濁併呑(せいだくへいどん)」=清らかなものも、濁ったものも、併せのむ。そこから転じて、善も悪も区別せずに一緒に受け入れてしまう、度量の大きいことをいいます。
出展は中国の古典『史記』に出てくる言葉です。
さて、「清濁併呑」 みなさまはどのような人物をイメージしますか、経営者?政治家?等々、いずれにせよ大物であることは間違いないと思います。経営者であれば仕事もバリバリだけど、お付き合いもしっかり。政治家はもともとそのくらいの度量がなければ務まらないかもしれませんね。 国をつかさどる、司法を、会社を、仕事を、もちろん実績も大事ですが、それだけでなく、尊敬するに値する人物である必要があります。以前ご縁をいただいて食事をご一緒した警視総監の米村さんも、やはりトップに立つだけあって、頭が切れるのはもちろん、ユーモアもあり、知識も豊富で尊敬に値する方でした。
私は以前から、歴史が好きで司馬遼太郎さんの本はよく読んでいました。そこに登場する多くの先人たちが日本を想い、家族や仲間を想いながら、人生を生き抜いていくストーリーに引き込まれていきました。
2011年の震災以降、日本力とか日本人の原点とかを改めて考える機会も増え、愛国心を持つ人や、日本を誇りに思う人が増えてきたのはとても素晴らしいことだと感じています。
古くは、新渡戸稲造が日本人の倫理観を説いた「Bushido : The Soul of Japan」をアメリカで出版し、民主主義の裏にあるアメリカの現実(拝金主義や人種差別)に疲弊していた良識人に受け入れられ、日本という国が尊敬にする国であり、倫理感のある人の住む国だと讃えらえたように(日本語訳は7年後にされています)もっともっと、我々も自信と誇りを持って生きていきたいと思います。
最近では、御年81歳の日下公人氏の発言が好きで、まさに日本のリーダーの1人とはこのような人のことかと感じ入っています。氏の本は何冊か読んでみましたが、我々日本人を元気にする、そして誇りを持たせてくれる論客だと思います。日下氏はアメリカの研究所に勤務し、海外の文化も理解した上での発言ですので、説得力もあります。 氏こそ、尊敬に値する「清濁併呑」たる人物ではないでしょうか。氏の、なかでも面白いのが「独走する日本」の中での提案です。それは、弱腰外交といわれるような情けない交渉ではなく、国際会議こそ日本がリーダーシップを取るべきで、やり方は、日本文化の特徴である、アニメの手法を使おうというもの。 | ↑この本での提言 |
その概要ですが・・・ 現在外国人から見た日本の良さは、サムライ、富士山ではなく、マンガ、フィギア、コスプレだと。宮崎作品や任天堂のポケモンは世界中で人気である。キリスト教文化がベースにある欧米では、最後に勝つのは正義のヒーローという勧善懲悪が多い。それはスカッとするが、果たしてそれが唯一なのかと感じていたところに、日本のストーリーが入り込んだ。日本の作品は悪いやつらも最後には味方になる。皆で話し合って、悪いことはやめようという、話し合い的決着が行われるからである。かつてはそれが「日本人の曖昧さ」だと批判されたが、今の子供たちはこの物語に新鮮な感動を覚える「So Cool!」と。そしてこの文化で育った世代が今は要職についているから、アニメのストーリーでこの精神を語り、国際会議で解決を図ればいいのだと。 この提案、面白いと思いませんか! 日本独自の「話し合いの決着」たしかに今の時代、通用しそうですよね。そして日本人もこの曖昧さに自信を持って、生きる時代になってきているのだと思います。 |
↑この本もプライド持てます |
(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.18 2012年2月号より抜粋)