天下無双(てんかむそう) Voice Vol.20

「天下無双」、ご存知の通り天下に並ぶ人がいないことです。 出展は中国の古典「史記」の「魏公子列伝」。概要は、戦国時代援軍を求められた魏の若者が、国力を鑑み躊躇する国王の命に背き、求めに応じ秦を破った事で、趙の国王以下多くの人々から「この世に二人と存在しない偉大な人」=「天下無双」と敬われた話に由来します。

 

さて、天下無双と聞くとみなさまは、どなたを思い浮かべますか?スポーツ選手、芸術家、企業家、作家等々、ジャンルは違えど、その道の達人を思い浮かべるのではないでしょうか?歴史上の人物もそうですし、現役の方かも知れません。私もいろいろな偉人を思い浮かべますが、今年はワールドカップもあり、トップアスリートの方々に、尊敬の念を抱きます。どんな分野でも、国内のトップに立つということは、並大抵の事ではなく、ましてや、世界一になるということ、またその地位を維持し続けることの大変さは想像を絶するものがありますよね。もちろん、芸術でも文化でもそれは言えるわけで、日々の修練、日々の積み重ねが、ナンバーワン=天下無双となる所以ではないでしょうか?

ところで先日、懇意にしている社長から「とても勉強になる本があるよ」と紹介されたのが 「プロフィット・ピラミッド」です。我々経営者が目指すところは、売り上げの拡大、社員育成等々ありますが、やはりその根底にあるのは、会社の存続です。 つまり、適正な利益を上げ、人材や設備に投資し、社員に還元し、継続して成長して行くことだと思います。この本では、日本の製造業6社を事例として取り上 げ、高収益を上げていく取り組みを解説しています。

生産や市場のグローバル化は最近叫ばれているようですが、実は1980年代の頭に「Japan as NO1」で日本が注目されているころから、日本企業は北米、欧州、東南アジア、中近東を大きな市場とし、また北米、東南アジア諸国を主要な生産拠点として展開していました。その後のバブル崩壊で多くの日本企業の活力がなくなったように見えますが、実はそうではなく、個々の企業の取り組みで、高収益を上げ続けるためのベースを続けているか、そうでないかの違いではないかと思います。 0909

 

この本ではこの部分にフォーカスし、高収益を上げるためのシンプルな4つの柱を、ピラミッドの四隅と定義し、それをベースに、収益を積み上げていくことを三角錐(ピラミッド)になぞらえて解説しています。 その4つの柱ですが、

第一要件として、「顧客提供価値の最大化」 
第二要件として、「競争の徹底回避」 
第三要件として、「顧客価値最大化のための自社能力設計」 
第四要件として、「高利益追求の強い姿勢」

としています。 このシンプルな4つの要件を、どの様に具体的に実行していくかですが、特に最初に紹介されている、キーエンスの事例では、創業者の滝崎氏(現会長)が2つの事業の失敗から3度目の正直でスタートした事業で、徹底的にこの4つを追求していった様子がケーススタディーとして載っており、とても参考になります。そしてこれは、製造業だから、キーエンスだからできたわけではなく、世の中に存在するどんな会社も、まねできることだというのが読み解けます。
なぜなら、
①顧客は常に潜在的問題を抱え、顧客にとってそれら潜在的問題発見と解決から得られる価値は大きく、顧客に問題発見と解決を同時に提供することにより大きな価値を創出する機会が存在する。
②日々の競合企業との熾烈な競争の中にも、時間差、橋頭堡等の視点を持てば、競争のない真空地帯を作り上げることができる。
③これまで、利益率20%や30%というレベルでの高い利益率達成を真剣に検討したことがないのであれば、市場をこれまでの視点とは全く異なる視点で見る余地があり、新しい視点により発見されるビジネス上の機会が存在する。
④高収益実現には工夫が不可欠だが、高収益実現を求めバックキャスティングで発想した工夫を継続して行うことにより、利益率を向上する機会が数多く存在する。
⑤そして最後に、「強く思えば必ず実現できる」という世の中の一般法則が存在する。

という原理原則があるからです。

いかがでしょう、天下無双の会社になれるように、我々も取り組もうではありませんか。そしてキーエンスのように、営業利益率40%をめざし、「人件費は経費ではない」と言い切り、人件費を高くすることが結果として会社の競争力を高めるという状態を作り上げていこうではありませんか!

 

  (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.20 2012年4月号より抜粋)