「足は大地に、眼は星に」

これはアメリカ第26代大統領セオドア・ルーズベルトの言葉です。

もちろん実際は英語ですから「Keep your eyes on the stars, and your feet on the ground」と話しています。

 

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セオドア・ルーズベルトと聞くと、親日派で柔道を学び、日露戦争のポーツマス講和を成立させ、ノーベル賞を受賞したというくらいしか世界史の歴史に登場しておりませんが、改めて調べてみると1900年に副大統領に就任した後、翌年9月マッキンリー大統領の死去に伴い大統領になった人だと分かりました。ちなみにマッキンリー前大統領は暗殺されたとのことで、アメリカには現在のトランプ氏まで44人の大統領がいますが、4人が暗殺されています。これが多いか少ないかはともかく、銃社会の怖さを感じますね。
 

第26代アメリカ大統領、セオドア・ルーズベルト、ノーベル平和賞を受賞した親日家でしたが・・・
ちなみに、セオドア・ルーズベルトはハーバード大学で同級生だった金子堅太郎や柔道家の山下義韶らとの親交があり、その縁で日本海軍提督の東郷平八郎が読み上げた聯合艦隊解散之辞に感銘を受け、その英訳文を軍の将兵に配布したそうです。

その後、日露戦争の日本勝利を受け、アジア情勢視察のため1905年6月末に30人の国会議員と実娘を含む一大派遣団を日本に送りました。
そこで見えてきたのが、日露戦争を境に、極東で台頭する日本でした。
結果として日本に対して警戒心を感じるようになり、やがて贔屓も薄れ、次第に米国が排日政策を進める要因となりました。

さて、足は大地に、眼は星にこれは、前回の長期の楽観、短期の悲観と同義ですが、改めてリーダーの考え方の基本だと思い取り上げました。
私が以前聞いた、目標設定の分かりやすい事例としてのフレーズに
「散歩のついでに富士山に登った人はいない」
というのがありますが、まさにその通りで、人はどんな目標を持つかで行きつくところが違う、とつくづく思っています。
それが、会社経営で言えば「経営計画」になるわけです。では、経営計画が無ければどうなるのでしょうか?
一年間、毎月、毎日、日々の仕事を一生懸命やっています。
それはもちろん大切な事です。
しかしそれでは、今月は良かった、今年は良かった、良くなかったと結果だけでの確認になってしまいます。
つまり、目標が無いと、実は毎日毎日近所を一生懸命散歩しているだけになってしまうのです。
 

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【経営者に必要な資質】

先日ソフトバンクの前社長室長の嶋聡氏の講演を聞いてきました。
孫正義氏のことは、皆さん多くの事をご存知だと思いますが、今回は孫氏に7年間寄り添い、1兆円企業から7兆円企業になる様子を間近で見てきた方の話ということで、とても楽しみにしていました。
嶋聡氏は大学卒業後は松下政経塾に二期生として入り、その後政治家として衆議院議員を3期務めたのち2005年にソフトバンクに入社します。
政治と実業の分野で多くのリーダーと関わってきた中でリーダーの必須条件として実感したのが「愛嬌がある」ということだそうです。
これは私も良く話をする中で、経営者の要件として、決断力がある、行動力がある等々いくつか大切な要素がありますが、特に重要なのはチャーミングであることだと思っています。
あの人のためなら、あの人がいうのなら、と必ず応援者がついてきてくれますからね。

さて嶋聡氏が最初に出会ったカリスマ経営者の松下幸之助さんですが、政経塾の最終面接では、二つの審査基準があったそうです。
一つは「あんたは愛嬌があるって言われますか?」
そして二つ目は「あんたの今までの人生はついていましたか?」だったそうです。
松下幸之助さんが、販売店の店主に会う時必ず聞いたと言われる、「景気はどうですか?」という話を思い出しました。
もちろん答えは景気が悪い時でも前向きな答えをすることですよね。

【大風呂敷経営】

ソフトバンクの孫正義さんは、知られているように、1981年に福岡で中古のソフトウエアを売るお店を創業しました。
アルバイトを2人雇ってスタートしたそうですが、あるときに2人の前で、「この会社は将来、豆腐を1丁、2丁と勘定するように、
1兆2兆という単位のビジネスをする」と語ったそうです。
そのときの2人のアルバイトは、「この人どうかしている」と思って辞めてしまいました。
しかし、現実には、ソフトバンクの売上高は10兆円となっています。
ユニクロの柳井さんも以前紹介した「経営者になるためのノート」で大きな目標を持つ大切さを説いていました。
大風呂敷経営とは、結局高い志で高い目標を持つということですよね。

我々も二人のようになる、ということではなく、目標と志を常に設定し直しそれを愚直に実行することで、自分自身の最高を目指しましょう。

 (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.82  2018年4月号より抜粋)