[人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の 足らざるを尋ぬべし
これは、ご存知、西郷隆盛の名言の一つです。

 今月は、来年のNHKの大河ドラマ「西郷(せご)どん」の主役、西郷隆盛の言葉からご紹介します。来年は明治維新から150年ということで、維新の立役者でもある西郷隆盛が取り上げられたのですね。楽しみです。

 

来年の大河の西郷どんを演じるのは、鈴木亮平さんだそうです。う~ん さすがNHK

さて、その西郷隆盛の名言の1つが、「人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」。 隆盛の遺訓をまとめた南洲翁遺訓からの抜粋です。
人を相手にしないで常に天を相手にするように心がけよ。
天を相手にして自分の誠を尽くし、決して人を咎めるようなことをせず、自分の真心の足らないことを反省せよ
、という意味です。

まさに、昨今の政治家に聞かせたい言葉ですが、これは経営者にも通じるのではないかと思います。競合や市場環境と様々な分析をし、いかに優位性を出していくか。それはもちろん悪いことではありませんし、必要な事です。ただ、「天を相手に」という心持があるかないかは、経営にも人生にも大きな意味をもたらすと思います。比べるべきは昨日の自分ですよね。
思えば私も小さい時に、祖父や母から「お天道様が見てるよ」と言われてきました。天の道、すなわち正道を改めて心に刻みつつ、己を尽くしたいと思います。

 

今月読んだ本で面白かったのが、左記にあります「GRIT やり抜く力」です。
帯のキャッチコピーに「誰でもどんな分野でも一流になれる 最強・最速のメソッド!」とあり、うーん、ホントかな~、と懐疑的に感じましたが、パラパラと読むと、この著者は中国移民2世の女性心理学者で2013年にマッカーサー賞(別名「天才賞」)を受賞。その理由が「人生で何を成し遂げられるかは、『生まれ持った才能』よりも『情熱』と『粘り強さ』によって決まる可能性が高い、と突き止めたこと」。これはもう手に取りたくなりますよね。日頃、コンサルや研修の中で、「人の能力はせいぜい2倍、やる気は何倍も違う。だから社員をやる気にさせることが重要ですよ」とお伝えしている私としては、早速レジに向かったのでした。

社員をやる気にさせたい中小企業経営者の皆様、
会社創りは人創り!
<トライプランニングの人材開発>

 

 

さて、内容はアメリカのこうした著作らしく、データや事例がふんだんに使われているのですが、その中の一つに、陸軍士官学校が出てきます。私も知りませんでしたが、入学審査の厳しさときたら、著者をもって、ハーバード大学に入る方がラク、と言わしめるもの。高校2年から志願し、学業が抜群に優秀なのはもちろんのこと、連邦議会議員、上院議員、または副大統領(!)の推薦状が必要で、当然体力面でも高得点が必須。全米1万4千人の志願者から、最終的に入学を許可されるのは  1,200名。みごと入学を果たす生徒は、例外なく各高校を代表するスポーツ選手であり、大半がチームキャプテンを務めているとのこと。しかし、こんな厳しい選抜を受けたにもかかわらず、5人に1人は中退してしまうそうです。では、どんな人なら過酷な士官学校を耐えることができるのか?このテーマから、本来持つIQや才能、性格などなどを分析し、答えを導き出しています。それが、「あきらめないこと」だと。

著者はマッキンゼーに勤務後教師になったという経歴がありますが、実体験による「才能」と「やる気」の関係など、身近な事例が満載です。読んで行くと、一気呵成に読めますので、ぜひ手にしてみてください。
貴社の人材教育の参考、そして自身のビジョンの確認に最適です。お勧めです!

今回取り上げた 「人を相手にせず天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし」 も、GRIT同様、「やり抜く力」ですね。他者と比較しないで天に問いかける、という姿勢は、経営者は特に持ち続けなければいけない資質だと思います。新年度、改めて自身、そして会社のビジョンを確認してみましょう。

このビジョンこそが、新たな季節に様々な出会いをもたらしてくれることでしょう!

 (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.69  2017年3月号より抜粋)