昨年、山形は蔵王温泉に行ってきました。

行ってきたのは、蔵王温泉の中でも一番の老舗であり、顧客満足度も高い深山荘高見屋さんです。日本旅館の素晴らしいおもてなしを体験するとともに、なんと25年ぶりのスキーも楽しんできました。
以下簡単にご紹介させていただきます。

 

【蔵王温泉:深山荘高見屋】

蔵王温泉街の一番高い場所にある、老舗旅館です。
創業は享保元年(1716年)ということですので、今年で297年目を迎えます。
さすがに古いだけあり、館内は広々と、というわけではありませんし、正直階段の多さにも驚きましたし、木造ならではの、人気がない場所の寒い感じなどは、今時のホテルには無い、ある意味不便さがありました。

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しかし、それを補うのがとても細やかな“心配り”です。
部屋に入ると、お茶入れとともに、「どうぞおくつろぎください」との毛筆での一筆箋があるのは普通としても、夕食を終えて部屋に戻ると、布団が敷かれていますが、その枕元に「どうぞごゆっくりお休みください」とやはり毛筆の一筆箋が。朝食時には、一筆箋で「おはようございます。今日も一日蔵王の自然を楽しんでください」と、小さな折鶴と共に配膳の上においてありました。お風呂も源泉かけ流しや檜風呂、食事もテーブルごとに細やかな対応と気持ちよく過ごすことができました。 さて、これだけの心配り、やはりその理由(わけ)がありました。それが庭訓(ていきん)です。会社でいえば社是・社訓でしょうか。こちらは資料をいただいてきましたので、ご紹介します。

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↑こじんまりした、上記のようなお風呂が 
この旅館だけでも9種類ありました。

【庭訓】(ていきん)

九代目岡崎彌平治重知当主が書き残したことに、ビジネスの原点があります。書かれた時は安政6年(1859年)です。一部ご紹介すると

●神や仏の信仰心を忘れないこと●年貢や上納物は、いち早く納めること●物を倹約し、親孝行を第一に考えること●温泉の恩恵を大切にして、お客様を手厚くもてなすこと●毎日早起きして使用人たちの模範になって稼業につくすこと●これらを朝夕忘れずに思い出して守ること●温泉地に住むものとして、火に用心し、悪い気持ちをもたれぬよう掃除に励むこと。

当たり前のことではありますが、これを代々守ってきたことが、297年お客様から選ばれている理由だと思います。日本版ビジョナリーカンパニーですね。皇室や著名人も数多く宿泊されています。

 

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↑山形市七日町御殿堰(なのかまちごてんぜき)
400年前当時の山形城主 鳥居忠正によって作られた用水路です

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 ↑樹氷で有名な、蔵王の頂にある地蔵山
標高1736メートル、天気は最高でした。

 

 (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.30 2013年3月号より抜粋)