「目的には理想が伴わなければならない。その理想を実現するのが、人の努めである。」
これは渋沢栄一氏の名言の一つです。

voice68-1ご存知「論語と算盤」の
渋沢栄一氏です
さて今月は近代日本経済の父と呼ばれている、明治から大正時代にかけて活躍された、渋沢栄一氏の言葉 「目的には理想が伴わなければならない。その理想を実現するのが、人の務めである。」を取り上げました。渋沢氏は言わずと知れた、日本が明治維新後に武家社会から一気に欧米と伍するために資本主義社会に代わっていく過程で、その先見性、理論、そしてリーダーシップで近代国家に作り上げた第一人者です。そして現代でも多くの経営者がその軌跡を学び理想としているのは、我欲がなく、国家のために、市井の人々のために事業に取り組んだ事ではないでしょうか。氏を表す有名な言葉は「論語とソロバン」。これは倫理・道徳観をしっかり持った上で、きちんとビジネスになるように経済活動をするということですね。今回取り上げた言葉が素敵だと思うのは、「目指すべき理想をきちんと掲げ、そのために為すべきことを考える」という点です。それが人の務め、つまり経営者の務めだと言い切っているわけですよね。経営計画を立てる時、そしてその手法としての経営戦略を考える時、目指す理想の必要性を改めて思います。それがぶれていなければ、会社として一枚岩になりますし、実績も伴ってくるはずですから。

 

今月読んだ本で面白かったのが、左記にあります「ゼロからの経営戦略」です。著者は、この分野では私が好きな一橋大学の教授、沼上幹氏です。著書では11の事例が取り上げられていますが、経営戦略の考え方、特にビジネスモデルの考え方がわかりやすく解説されています。富士重工、コマツなどの老舗企業から、ハイデイ日高など新興の上場企業まで、創業の経緯なども紐解きながら解説しています。掲載されている新興企業の社長さんたちの話は、私も直接聞いたこともありますので、より身近に感じられる点も興味をそそられます。私の得意分野である経営戦略立案を、具体的に後押ししてくれるように分かりやすいので、これを顧問先のお客様と読み込み、アイデアを出して行きたいと思いますし、まだお付き合いしていない未来のお客様、もっと言えば、お客様でなくても、多くの企業経営者にお勧めしたい本だと思います。意外と陥りやすいのが同業他社はこうだから、というように、日々ミクロで比較しがちな競合戦略ですが、実はビジネスモデルや収益構造がまるで違うということに気づかないと、他社と同質的な戦略しか出なくなってしまいます。俯瞰する目をもつこと、そして企業社会で生きるための良いヒントを与えてくれる内容です。

中小企業経営者の皆様、一緒に経営戦略を考えてみませんか?

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今回取り上げた 「目的には理想が伴わなければならない。その理想を実現するのが、人の務めである。」

夢と理想を掲げることがまず第一歩、つまり経営計画策定であり、その次に具体的なアクションプランを考えるのが、経営戦略だと思います。3月の年度末で一度振り返り、4月の新年度から、改めて自社の「経営計画」「経営戦略」を見直してみましょう。会社経営は本当に面白い事ですよね。そのためには、夢と理想を描き、現状とのギャップを埋めて行く事に日々邁進して参りましょう。だってそれが人の務めなのですから。

今のポジションで、お客様と社員さんに笑顔を沢山与えられるようになりましょう。

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.68  2017年2月号より抜粋)