「桑弧蓬矢(そうこほうし)」 桑でできた弓と、よもぎでできた矢のこと。
男子が志を立てるたとえ。また、その遠大な志のたとえ。出典は中国の古典「礼記」です。
古代中国の諸侯は、男児が生まれると「桑弧」で「蓬矢」を天地四方に向けて射て、
将来世の中に大きく羽ばたいてほしいと願ったことから来ています。
さて「桑孤蓬矢」。皆様同様お蔭様で忙しい日々を送っておりますが、インプットも重要と経済誌や小説も出来るだけ目を通しています。先日のファーストリテイリング柳井さんの本「経営者になるためのノート」とは別に、タイトルがユニークだった本 「丸井」創業者・青井忠治氏を描いた「景気を仕掛けた男」がとても面白かったので紹介いたします。
読後感を一言で申しますと。2013年の本屋大賞を受賞した「海賊とよばれた男」と同じように、厳しい状況からの創業という時代を乗り越え、世の中に認めてもらうための凄まじい執念と、愚直な取り組みに感動しました。
久々に一気に読んでしまった本の一つです。
そもそも丸井は私が社会人になったばかりの頃、デザイナーブランドのスーツを売っていた「おしゃれなデパート」として数年間よく通った記憶があります。その後は、スーツもカジュアルも選択肢が広がり、丸井とは縁遠くなってしまいましたが、あの丸井にこんな歴史があったとは・・・。企業の成長の裏には、経営者の想いが詰まっているのだと感動です。それを考えると、全ての企業にそれぞれの歴史があるのでしょうね。
私の個人的興味だけでなく、仕事としても、企業成長のヒントが満載でした。
↑明るい色も目立って良いです
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本の内容は、実際に読んでいただきたいので詳細は書きませんが、幾つかのポイントをご紹介させていただきます。 まずは、「社員」を大切にすること。会社を伸ばしていくためには、人が必要です。戦前一般の会社だけでなく、社会全体としても、人=労働力という時代に、社員を家族のように扱い、衣食をともにする。以前読んだ松下幸之助氏の創業期と同じと感じました。 次に、「PR」。会社を知らせるために、広告を打っていく。当たり前ですが、その時代から他社と比較して、「PR」の大切さを青井社長が理解し、投資をしていきました。 そして最後に「時代を読む目」。これも世の中をみて、お客様をみて、同業者をみて必要なものをタイムリーに提供するという視点が長けていると感じました。 今お付き合いさせていただいている多くの経営者も、「桑弧蓬矢」の想いで会社を経営されていらっしゃいますし、社長個人の特徴を活かしながら日々取り組んでいらっしゃいます。今回の「景気を仕掛けた男」や、「海賊とよばれた男」の時代とは、現在の日本は市場もそうですし、働き方や消費のスタイルも違ってはいますが、経営者の根底にある想いは時代を経ても変わらないし、変わってはいけないものだと思います。 戦前戦後と愚直に駆け抜けたモーレツな経営者の一人ですが、参考になる事が満載の素敵なノンフィクションです。お勧めです。 |
今回は、「桑弧蓬矢」から、経営者の大変さと面白さを書かせてもらいました。青井氏がつねに語っていた言葉『景気は自らつくるもの』『販売は宣伝にあり』この二つはまさに真実ですね。さすがに私も「景気をつくる」とは言えませんが、業績は他人や環境に左右されるのではなく、自らが動くことで会社を伸ばしていく、というのが経営者の使命ですね。そして、「販売は宣伝にあり」。これは、営業のプロとしては当たり前の事だと思っています。 |
↑丸井創業者 青井忠治氏 |
(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.56 2015年11月号より抜粋)