以和為貴」(わをもってとうとしとなす)ご存知とは思いますが、出展は日本で最初の成文法聖徳太子の「十七条憲法」の第一条です。

 

さて、「以和為貴。昨今の近隣諸国との領土問題、今までの北方領土等の弱腰外交に比べれば、少しは主張をするようになってきたと思いますが、逆に相手国の行為がエスカレートしてきているのも事実です。私個人的には日本の理屈で相手の理解を求めるような手立てはできるはずだと思っていましたが、こと外交問題に関しては、有史以来そうならないのが事実でもあり、ここのところの中国や韓国の言い分を聞いていると、正しいとか間違いとかではなく、主権の争いでは話し合いではとても解決は付かないものだと理解しました。

そんな時、思い出したのは、聖徳太子のこの言葉以和為貴でした。
「十七条憲法」の第一条に、「和を以て貴しとなす。忤うなきを宗となす」と書いていることです。
  聖徳太子が本当に存在したかどうか、憲法を作ったのか?色々議論はありますが聖徳太子の誕生から100年後に編纂された日本書紀にはしっかりと聖徳太子の ことや、日本最初の律令である、「十七条憲法」のこときちんと書いてあるのですから、我々日本人としては、聖徳太子のこと、日本の成り立ちをなるべく真実 だと理解しながら歴史を学び後世に伝え行きたいと思います。

 

さて、この「十七条憲法」が公布された時期というのは、まさに現代とよく似て中国や朝鮮との関係性において日本の国としての主権や存在を明確にしなければいけない時期だったのです。
ご存知のように、西暦600年頃の中国は隋の勢力が強く、その力は朝鮮半島から日本に及んでいました。ここで、倭の国(日本)を治めようと考えていた聖徳太子は隋のようにきちんと律令をつくり、中央集権での法治国家を目指しました。
そしてそれを基に外交政策を取ることで、対等の立場に立つことを目標にしたのでした。

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さて、以和為貴あまねく日本国民に対する、初めての布告がこの言葉からはじまるのは、日本人のみならず、人間社会の本質をついている素晴らしい言葉だと思います。「とにかく人間争わず、仲良することが貴いことだよと」後の、16条も「憲法」と言うよりも、人間としての生き方の本質を突く内容ばかりです。日本にはこんなに素晴らしい、人物がいたということ、そしてこの律令があったことをあらためて誇りに生きていきたいですよね。
以下簡単に、2条~17条をご紹介します。

 2条、三宝を深く尊敬し、尊び、礼をつくしなさい 
 3条、天皇の命令は反発せずにかしこまって聞きなさい
 4条、役人達はつねに礼儀ただしくありなさい  
 5条、道にはずれた心を捨てて、公平な態度で裁きを行いなさい
 6条、悪い事はこらしめ、良いことはどんどんしなさい 
 7条、仕事はその役目に合った人にさせなさい
 8条、役人はサボることなく早朝から夜遅くまで一生懸命働きなさい
 9条、お互いを疑うことなく信じ合いなさい
10条、他人と意見が異なっても腹を立てないようにしなさい
11条、優れた働きや成果、または過ちを明確にして、必ず賞罰を与えなさい12条、役人は勝手に民衆から税をとってはいけません
13条、役人は自分だけではなく、他の役人の仕事も知っておきなさい
14条、役人は嫉妬の心をお互いにもってはいけません
15条、国のことを大事に思い、私利私欲に走ってはいけません
16条、民衆を使うときは、その時期を見計らって使いなさい
17条、大事なことは一人で決めずに、必ず皆と相談しなさい

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以上  これは、意味を簡単に訳したものです(出展小学館、聖徳太子の法律)

この憲法、今でいえば国会議員や役人という国をつかさどる人に向けて言っていますが、当たり前と言えば当たり前なことです。しかし、改めて読んでみて、いまだにできていないこともたくさんあるのも事実です・・・

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.25  2012年9月号より抜粋)