じっくり考えろ。
しかし行動する時が来たなら、考えるのはやめて、進め。

今回の言葉は、ご存知ナポレオン・ポナパルトです

 

 今月は、前回からのフランス繋がりではありませんが、シャネルが産まれる100年前、同じしし座のナポレオン・ポナパルトの言葉からピックアップしてみました。

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このたび新たに「TPメンバー制度」を発足いたしましたが、実はこの構想は何年も前から温めていました。実現したいと思いながらも、どのような内容が喜ばれるか、役に立つのかと、様々考えをめぐらしておりました。しかし、ある日この言葉を見て、今が行動するときだと!ナポレオンらしい、雄々しい言葉ですね。背中を押されました!

ナポレオン・ポナパルト(1769-1821)この胃を押さえているポーズは非常に有名ですよね。胃痛だったから、皮膚病で痒かったから、はたまた背の低いのをカモフラージュするためのポーズだった、など所説ありますね。

 

「らぽっぽ」「くくる」でおなじみの白ハトグループ

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さて、先月、白ハトグループの社長、永尾氏の講演を聞く機会があり、失礼ながらあまり予備知識のないまま伺いました。しかし、駅ナカやデパ地下に入っている「らぽっぽ」または、「道頓堀くくる」と聞けば「ああ、あの!」と思われる方も多いでしょう。
「らぽっぽ」はスイートポテトを主力とした、スイーツのお店で国内外に100店舗以上、「くくる」はたこ焼き屋さんです。
白ハトグループは約70年前にアイスクリームの製造販売からスタートし、冬でも売れるものを、と試行錯誤した結果、スイートポテトにいきついたんだそう。私も知りませんでしたが、スイートポテトは日本発祥のスイーツなんですね。
 
白ハトさんは、スイートポテトの原料であるさつまいもの国内シェアは80%。自社以外でも、いわゆるスーパーやコンビニで販売している冷凍の大学芋や、お菓子のサツマイモ味というものは、すべて供給しているそうです。それができるのも、この会社さんのユニークな、「第一次産業から第三次産業までを網羅した第六次産業グループの確立」に取り組んでいるからこそでしょう。
 
ではなぜお菓子を作り、売る会社が、サツマイモを「作る」ことにしたのか。
そもそもは、よいサツマイモを仕入れる為に農家さんに伺うと、お昼に食べているのはコンビニのおにぎり。
スーパーで様々な野菜が並んでいる中で、真っ先に売り切れるのがなんと焼き芋という現実に、永尾社長は改めて驚いたそうです。
・なぜ自分の田んぼでお米を作っている農家さんがコンビニのおにぎりを食べるのか
- 働き手の女性がご飯を炊く、そして握っておにぎりに、という手間よりも、コンビニで買う方を選んでいる。
・なぜ生鮮野菜コーナーの中で焼き芋が売り切れるのか
- ペットと2人暮らしの老人が増えていて、焼き芋ならペットにも与えることができるし、自分もそこそこお腹が膨れる。じゃ、今日の朝は、昼は焼き芋で、
となるんだそうです。
 
まさに少子高齢化と女性の社会進出が、より手軽で美味しい加工食品の需要を底上げし、そこに気象状況、海外での和食ブームと、食材をキープすることが難しくなってきたと。
サツマイモだけでなく、たこ焼きのタコは、以前食べなかった外国人が食べるようになったのと、養殖が難しいので、今や高級食材になりつつあるそうです(6/8時点でニッスイがマダコの完全養殖がに成功、とプレスリリースされていましたが、汎用はまだまだこれからでしょうね)。

 

「なめがたファーマーズビレッジ」開設の決断

voice73-3農家についても、主力な働き手が70代がザラ、若手は皆無という現実に「どうにかしなくては!」という思いが募っていったそうです。
そこで、決断の時が。2015年、茨城県の行方に「なめがたファーマーズビレッジ」を開設したのです。
若手農業従事者の育成には、まず自分達から!ということで、約20万坪の中に畑はもちろん、観光、体験施設、地域交流の場などを設け、新3K農業(キレイ、気持ちいい、カッコイイ)の実現に向けて邁進されています。

 

ここで裏話もしてくださったのですが、このなめがたファーマーズビレッジを開設する前に 、なんと銀座の一等地に自社ビルを建てませんか、という話が持ち上がったそうです。
テナントも入れば十分利益が出るビルになると言われ、かかる費用もほぼ同等。
どちらかの選択を迫られました。
「正直なところ、自分の代で銀座に自社ビルというのは魅かれました。でも、50年後、100年後、自分がいなくなった後も社員や事業にかかわってくれる人が喜んでくれるのはどちらだろう、と考え、決断しました。この、決める、ということこそが、経営者の醍醐味だと本当に思います!」と。
「しかも、そう決めたら、なんと7000名の新卒応募があった。8割は女性で、さらにその5割は理系。志の高い女性が多く、本当に驚いた。今年も5000名の応募があった」とのこと。
決断し動くと、そこからまた良い循環が生まれるのですね。

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さて、今回取り上げた

「じっくり考えろ。しかし行動する時が来たなら、考えるのはやめて、進め。」

白ハトの永尾社長も様々な岐路で迷われ、ダメ元、という気持ちで当たったことも多かったそう。
しかし、そうして動いているうちに、支援者や協力者が表れ、思いもかけない結果が出ている、と。
経営者の皆様も、決断をし、そして思い切り進む。暑い夏こそ、この経営の醍醐味を味わい尽くしましょう!
 

 (弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.73  2017年7月号より抜粋)