今月は運動好きの私だから見つけられた、ちょっと面白い本とそのエッセンスをご紹介いたします。
その本とは、昨年出版された「脳を鍛えるには運動しかない!~最新科学でわかった脳細胞の増やし方」
とかなり前に出ていますが、「ランニングと脳」の2冊です。
これを読んだら、楽しくなること請け合い、すごいことがわかったのですから!!

ところで、皆様は日常的に運動をしていますか?運動が体のために良いことはわかっているけど・・・
なかなか時間が無くて・・・という方も多いのではないでしょうか!
かつて私も、33歳までは、運動といえば付き合いゴルフだけでしたので、その点良くわかります。

今回の話は、運動が脂肪を燃焼させ、様々な生活習慣病の予防にもなるというだけではなく、「走ることで頭が良くなる」という話です。

 

さて、皆様も運動をすると「心がスッキリする」「頭がクリアになる」というご経験があると思います。逆に、運動がある程度習慣になっている方は、運動をしない日が続くと、なんとなく気分が悪い、ストレスがたまるという感覚になるのです。

つまり、運動と精神の間には結びつきがあることを、経験的に知っています。

実はこの経験知の背景にあるメカニズムが、「脳を鍛える・・」によると、最新の脳科学の研究によって、次々に解明されているのです。そして、ランニングなどの有酸素運動は、単に気分を爽快にしてくれるだけでなく、「脳を鍛える」ということがわかってきたのです。

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この本にある事例をご紹介します。
「イリノイ州のハイスクールで授業の開始前にエクササイズの時間を設けた。
理由は肥満の急増に危惧を抱いた学校側が始めた試み。種目はランニングやエアロバイクだけでなく、ダンスやゲームなど個々の身体能力に応じて運動をさせた。やはり運動を日常的に行うという習慣は素晴らしく、肥満の生徒は全米平均30%に対して、3%という結果となり、健康な体となった。しかし、そうした身体面の成果より関係者を驚かせたのが、生徒たちの学業成績が急激に伸びたことだった。翌年全米の統一試験でこの学校の生徒の成績がずば抜けて良かった」とつまり、授業開始前のエクササイズが、脳に刺激を与え学習効果を高めていったということ。
今ではエクササイズの担当教師は「私たちの授業では、脳細胞を作りだしています」と語るようになっているそうです!

経営のヒント7-1

確かにこの事例は素晴らしい成果ですね! ではいったいこの生徒たちの脳の中はどのような現象が起こったのでしょうか?
日本の脳科学分野の第一人者である、京大教授の久保田競氏によると、(ちなみに氏は47歳で走り始め、79歳の今もジョギングしている市民ランナーです)「人間の脳はおもにニューロンで構成されていて、これはストレスや老いで死滅していく、だから仕方がないと思いがちだが、鍛えることでニューロンを成長させ、シナプスを増加させることができる。つまり生きている限り脳は成長できるということ、その鍵を握るのが運動、とりわけランニング等の有酸素運動だ」とのことでした。

詳細はぜひこちらの「ランニングと脳」を読んでもらいたいのですが、有酸素運動をすることで、前頭前野といわれるワーキングメモリ(パソコンで言うところのCPUとハードディスク)が刺激され活性化するそうです。

 一般的に「頭が良い」というとき、それは知的能力全般が優れている、つまり、注意力、判断力、決断力、記憶力があり、問題解決能力が高く、創造性に富み、人とのコミュニケーションをとりながら物事を実現する能力があるということですが(これだけあれば完璧ですよね!)、この能力を高め、つかさどるのがワーキングメモリだそうです。

昔から文武両道が両立できる人が優れているといわれましたが、科学的に証明されたということですよね。なので、皆様ぜひランニングで頭を良くしましょう!

では具体的なランニングはどうするのかですが、下記の久保田流「脳育RUN」5か条を参考
にしてください。
1.週2回、15分以上 ・・・脳に変化が出てくる運動習慣の目安、慣れてきたら30分以上に
2.積極的に楽しむ  ・・・ドーパミンの放出には楽しんで取り組むことが大切
3.汗をかく強度で    ・・・前頭葉が活性化するには、全身汗をかくくらい中程度の運動強度で
4.脳を使いながら走る・・・ワーキングメモリを高めるために刺激の多い屋外で、人と会話できれ
              ばなおよい
5.やり続ける        ・・・習慣にすること、有酸素運動ならサイクリング、水泳、ヨガもよい

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.13 2011年7月号より抜粋)