柳暗花明(りゅうあんかめい) Voice Vol.62

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「柳暗花明(りゅうあんかめい)」 柳が薄暗く茂り、花が明るく咲く、春の美しい景色のこと。 転じて、行き詰ったかと思った途端、新しい展開が開けることの例えです。 出展は古代中国南宋の陸遊(りくゆう)の詩からです。

 

さて「柳暗花明」。ビジネスの世界は常に動いていますから、経営者も日々の仕事は勿論ですが、世の中の動きを 見据えながら、自社の3年後・5年後を考えて行かないといけません。会社が継続できるというのは、お客様から支持さ れているということですので、世の中の動き=お客様からのご要望、に応えられているということです。
しかし、自社が成長すると同じくお客様も成長するわけですし、社員の年齢が上がると同じくお客様の年齢も上がるということは、常に新陳代謝を繰り返していかなければなりません。企業にとって事業承継は必然かつ重要なテーマです。今回は、入社後二代目として企業規模を大きく拡大した事例として、車検の事業をフランチャイズとして展開している、株式会社コバックさんを紹介させていただきます。

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<トライプランニングのスモール経営レビュー>

さて、「車検のコバック」さん、看板を見かけたことがある方も多いと思います。今回知人からの勧めで、小林憲司社長の「コバック伝説」という書籍を購入したところ、面白くて一気呵成に読んでしまいました。
もちろん面白いというのは、ユーモアがあるというわけではなく、経営に悩みながら、夢を持って事業を拡大していくそのストーリーに引き込まれたわけです。小林社長は高卒後いくつかの会社勤めを経験した後、24歳で父親の創業した「小林モータース」に入社します。当時はご両親以外には整備士が業界の規定ぎりぎりの5名しかおらず、退職者があると、会社が成り立たないので、常に職安に募集を出していたそうです。
まさに、経営が安定しない、社員が入れ替わる、売り上げが伸びない、資金繰りが苦しくなる、という負のスパイラルに巻き込まれそうな状態でした。
当時の「小林モータース」も含めた自動車整備工場は、業態の変化に巻き込まれていました。創業時は、自動車メーカーがディーラー網の展開が追いつかずに、全国各地の整備工場に車を卸して、販売チャネルとして使っていましたが、1980年代になると、各メーカーは独自の販売網を整備し、併せて車検などの整備も始めており、販売から整備まで一気通貫で出来るようになっていました。

 

そうなると、お客様を獲得する営業手段の無い整備工場は、細々と続けるか、廃業か、若しくは資本を入れてもらう、代理店になるという選択肢となります。その時25歳の小林さんとしては、自社の生き残りをかけて整備の中でも安定的に仕事になる、車検に特化しようと考えます。そのためには、当時の業界の常識であった、車検の費用はブラックボックス=いくらかかるかわからない、を、明示する。見積もりを事前に出すことで、お客様を獲得する方針を打ち出します。そして父親を説得し、120万円かけてチラシを作り、折り込み広告をいれました。・・・結果は問い合わせゼロだけでなく、同業者からの嫌がらせもたくさんあり、社内はもちろん、地元でも噂され、まさに針のムシロでした。

勿論ここで話が終われば、現在全国に470店舗ある「車検のコバック」はあり得ないわけで、全国展開フランチャイズの詳細については、ぜひコバック伝説をお読みください。さて、「柳暗花明」。行き詰ったときに、小林さんが取った方法は、徹底的にお客様にご要望を聞いて回ったということです。そしてお客様が望むことを一つずつ提供する会社にしていったのです。その中には、お客様の要求と言うよりも、たんなる我儘な意見もあり、それをすれば赤字になるということもあったそうですが、商売抜きに、やると決めて実施していくと、いつの間にかお客様増えてきて、経営が安定化したのです。
そこで小林さんが考えたことは、全国で同じように苦しんでいる人に、自分が上手くいったやり方を伝えたい。それが結果として、整備業界初のフランチャイズになったわけです。

 

↑コバックのキャラクターコバサンタと小林社長のイラストです。これも良いですよね!

 

今回の「柳暗花明」、事例としてコバックさんをご紹介しました。全ての課題には解決策があり、その答えはお客様が持っている、と改めて思います。ぜひこの本を一読して、自社の成長のヒントにしてください。

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.62  2016年7月号より抜粋)