意匠惨澹(いしょうさんたん) Voice Vol.53

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意匠惨澹(いしょうさんたん)」 物事を苦心しながら考案すること。
「意匠」は工夫の意味、「惨澹」はさまざまに苦心するようす。
出典は中国の詩人「杜甫」の言葉です。

 

 さて「意匠惨澹」。ビジネスを継続し伸ばしていく中で、様々な困難がありますね。もちろん仕事だけでなく、人生も同様。単純ではなく、様々な試練があります。しかしこれを「困難や試練」ととらえるか、「成長のためのチャンス」だととらえられるかで、成長度合いに差が出るように思います。
 多くの経営者に出会い、話を聞いたり、もちろん自身の日々の経営の中でも感じていることですが、困難に出会ったら、創意工夫が欠かせない、ということです。大変な作業ではありますが、成長するためには避けて通れないのが「意匠惨憺」、結果として、その先の成果が楽しみだとも言えるわけです。
 当社も経営コンサルティング会社として、先人の経営者の経験、成功、失敗、そこからの克服方法、また若手経営者達の目の付け所やITを駆使した改善などの事例がこの13年間で集積しておりますので、これからはぜひ多くのビジネスパーソンに伝えていきたいと思います。
 業績が良い(つまりお客様に選ばれている)会社の経営者はピンチをチャンスに変え、苦難に遭遇すれば何かを変える必要があるとの啓示だと考えて行動をしており、結果として「意匠惨澹」、工夫と改善の繰り返しが行われていますね。もちろん、ただ自然に任せてそのような工夫・改善ができるわけではなく、経営者は常に「マーケティング」と「イノベーション」を意識することが重要だと思います。「マーケティング」とは、世の中がどのような流れになっている
のか、自分たちを待っているお客様は誰なのか、そのお客様が望んでいることは何なのか、を常に考えることですし、「イノベーション」とは、その中で会社の体制やサービスをどの様に変化させ、進化させていけば良いのか、ということを考え続けること。この両輪を回し続けることが成長へのカギとなっていくのです。

 以前このVoiceでも著書をご紹介しましたが、「ガリバーインターナショナル」の会長である「羽鳥兼市」氏の話を聞く機会がありました。羽鳥氏は高校卒業後父親の会社に入り、その後義兄と会社を設立したものの倒産、36歳の時改めて、「東京マイカー販売」という今のガリバーにつながる中古車販売の会社を一人で立ち上げました。
2年ほど一人で会社を廻しながら徐々に負債の返済を終え、社員を入れることになったそうです。
 その後、氏曰く「まじめにやってはいたが、いたって普通の会社だった」と。そこで54歳の時に一念発起、「経営者は夢とロマンを以てやらないと面白くない」と現在の「ガリバーインターナショナル」を設立、「上場企業になる」「世界進出をする」「業界でナンバー1になる」のビジョンを掲げ、具体的な数値目標を設定し、実際にわずか4年後に店頭公開、6年後の60歳の時、東証2部、そしてわずか9年後の2003年63歳で東証1部に上場を果たしています。
「ジャパネットたかた」さんのビジネスモデルもそうですが、中古車販売業という、特に特別な技術や、ノウハウがあるわけでもない、言ってみればだれでも参入できる業界でなぜこんなことができたのでしょうか。

201506 羽鳥氏の話の中で、印象に残ったことをいくつか記載します。
「会社を良くしたい、お客様に選ばれたいというのは、当たり前、その先のビジョンがないから普通の会社だった。ビジョンを持ったら自分も社員も目標が出来て上場できた」「景気が悪い、少子化で車に乗る人が少ない、なんて一般論は評論家に任せて、
経営者は、どうしたら良いのかを考えないと。その意味では中古車市場は伸び盛り!」
「本社は何処にあっても同じだと思い、最初は福島県においていて、上場して浦安に来たけど、イメージアップにならない。逆転の発想で中古車販売の会社に一番合わない場所はと考えたら、丸の内になった。そしたらイメージアップどころか、良い人材が集まった」「自分が夢を持つから、社員も夢を持てる。志を高く持ち、それを言い続けると、それに
賛同する社員が集まる。強い集団ができる。」「お客様が何を望んでいるかを常に考える。中古車は簡単、自分の車を高く買って欲しい良い車を安く買いたい。その意味では適正な価格を明示して欲しい。それに特化した。」 

 今回は、「意匠惨澹」から、創意工夫とビジョンの大切さをお伝えしました。以前ご紹介した、「日高屋」の神田会長もそうでしたが、「ビジョンを持たなければ、ただのラーメン屋のおやじ、ビジョンを持ったから、ラーメン屋で初の上場会社になった」と、全く同じですね。改めて、自社のビジョンを明確にし、会社の成長に繋げて行きましょう!

 

(弊社発行 月刊まるやまVoice Vol.53  2015年6月号より抜粋)